生きざま

オタクの生きざまなど

【ガチネタバレ版】ワンモア第二話感想

見なければいけないコンテンツが渋滞しています。CDのリリース週なので。録画も視聴も全く追いついておりません。すごい。売れてる。売ろうとしている。そんなわけで第二話感想です。バチボコにネタバレです。

ちなみにAmazon Prime Videoの見逃し配信ですが、有料サービスだしワンチャンアーカイブ残してくれないかな…二話が公開されたら一話は消えちゃうかな…と思っていたら、現時点(4/16)でまだ一話のprime視聴は残っているので、追加はされても過去分もそのままで後追いでの一気視聴が可能になりそうです。やった~。個人的にツイッターとかよくやってる層のみなさんには地上波テレビ一発放送よりAmazon Primeの方が気軽に見やすいしお勧めしやすいと思っています。

第二話は塚田僚一さん演じる空田公平がメインの回となり、現在33歳の彼がどういういきさつで定時制高校に入学し、どんな家庭の状況であるかということが語られていきます。

小学4年生である娘の朱里と二人暮らしをしている空田は、昼間は「シロイヌヤマダ宅配便」の配送ドライバーをしながら学校に通っています。(大型トラックでなければ)普通免許があればよく、業務委託として時間に融通を利かせて地元で働くことができる仕事としては配送ドライバーは適しているとは言えます。一方でおそらく歩合制だと思われるので、収入面では多少不安を抱えている可能性はあります。彼の生活ぶりを見る限り、朝は娘の支度をして学校に送り出してから出勤し、学校のある日は登校時間に間に合うよう夕方には帰宅しなくてはいけません。対応できる労働時間はかなり短いでしょう。土日に仕事を多めに入れて取り返すことはできますが、その分子供には一人で留守番してもらう時間が増えます。義両親の心配もわかるような気がします。

クリーニング店で偶然朱里と出会ったことで、火村は空田の過去や生活について知ることになります。この時の店内と、帰る道すがらわずかに会話した情報だけで火村は朱里が学校でいじめを受けているのではないか?と見抜きます。「明るくしっかり者の少女」である朱里がしきりに「先生に聞いた話」「パパの話」としていじめの話題を出す様子を何らかのSOSだと受け取ったのだと思います。犯罪など取り返しのつかないことをしてしまう人の中に、自らの困りごとや問題を言語化して他人に相談することに難しさを抱えていたというケースが割とあります。火村もそういうところがあったのかもしれません。なので、他人の困りごとにアンテナが立ちやすいのでしょう。

空田に対してもそうでした。自宅で小火を起こした後日、水野のねぎらいに笑顔で応えた空田を見ていた火村は訝しげな表情を浮かべ、休み時間に屋上まで空田に話しかけに行きます。ところでこの時の水野は「神様は乗り越えられる試練しか与えない」というどこかで聞いたような言葉で空田を励ましますが、水野の(時に人を傷つけかねない)イノセントさがここに表れています。水野がどこまで空田の家庭事情を把握していたかわかりませんが、留守中の子供が火事を起こして早退したひとり親の学生に対して、そんな安易なテンプレ励ましの言葉はあんまりかけないですよね?でも、ここで「こう言えば元気づけられるだろう」って思ってしまうし、素直にそれを実行できてしまうのが水野です。おそらくは大きな挫折とか人間関係のトラブルなどの経験が極端に少なく、それが欠点であり一方ででもそういう人も必要だよねと思わせる長所でもある人ではないでしょうか。空田はというと、特にためらいもなくはい、そうですね、と笑顔で答えています。わかりますか、この空虚な感じ。心を瞬時に殺せる人の表情。空田は空田で、過去に大病や結婚、死別と色々な経験をしていくなか善意でコーティングされた刃物をいっぱい突き出されてきて、そのすべてに心を痛めていてはきりがないので全部飲み込んで笑顔でそうなんです、ありがとうございました、を反射的に返せるようにすることでサバイブしてきたのだということがありありとわかってしまいます。

空田の留守中の火事(とそれに伴う朱里のケガ)をきっかけに、同居別居問題が勃発します。といっても、以前から義両親は父子二人暮らしにあまり賛成してはいなかったようで、今回のことでそれが一気に噴出したといったところです。義両親の年齢は60代から70代といったところでしょうから、そのぐらいの世代にしてみたら母親ならともかく父親が1人で子育てすることに不安や抵抗があってもおかしくはありません。ちなみにですが、もし朱里がまだ未就学児~低学年であった場合、保育園や学童の送り迎えが発生しますし、一人で留守番させることもほぼ不可能、かと言ってベビーシッターやファミサポを頼むほど収入に余裕もなさそうですから、最初から義両親とチームで生活を回していく必要が生じるので、これは朱里が小学校4年生だからこそ起きた問題とは言えます。

子供の生活を犠牲にするぐらいなら学校を辞めると空田は言い出します。直前に火村から、いじめられてる学校に無理やり行かせるよりもっと大切なことがあるんじゃないかという話をされていました。火村は娘の話として語っていましたが、空田はこれを自分のこととして受け取ったのかもしれません。止めに入った朱里に、学校よりも娘といられる方が大切だからと涙ながらに語ります。一方の朱里も、ママの代わりに宿題を教える、学校を卒業するという約束はどうなるのかと凄んだかと思うと、パパ学校好きでしょうと微笑みます。彼女にとっての「大切なこと」というのは、亡き母との約束を守ること、父の人生に犠牲を強いないこと、であるとわかります。彼女の方が一枚上手のようでした。これがきっかけとなり、空田はしばらくの間義両親に子供を預けることを決断します。突然オタクの感想になりますが、こういうときの塚田くんは本当にすごいと思います。語り口はあくまで静かなのに、感情を爆発させることなく、でもいろんな感情が渦巻いていることを一瞬で表現できてしまいます。塚田ファンが彼の元気でオバカみたいなキャラは演出用のパブリックイメージだと繰り返し言いがちなのは、こういう部分をずっと見ているからだと思います。

もう一つこのシーンで良かったなと思ったのは、大人たちの総意として基本的には「子供に子供らしい生活を送らせる」ということを目指していると感じられたことです。空田は「母の記憶が残る家で父親と一緒に住むこと」、義両親は「大人の目が行き届くところで安心安全に生活すること」を第一に考えています。父親と娘の物語で、まだ幼い子供に「小さなお母さん」「小さな奥さん」をやらせて感動を煽るようなものを時々見ますが、かなり虐待とギリギリのラインだと思っています。なので、自主的にご飯を作ったりすることはあるにせよ、朱里を「お母さんの代わり」にしよう、させようという方向性で泣かそうとしてこなくて心底安心しました。

なお今回も確認できた範囲で日付を記しますが、冒頭で水野が古文の授業をしていて、火村が空田の学生服にコーヒーをこぼしたのが5月12日火曜日です。この日の夜に空田の義理の母から最初の相談電話がありました。翌5月13日水曜日に、クリーニング店で火村と朱里が出会い、帰宅した空田が朱里のいじめを知ります。この後小火騒ぎなどがあり、少し間が空いてラストシーンの朱里がいなくなった家から学生服(クリーニングのタグ付き)の空田が通学するのが5月26日火曜日になっています。また、仏壇がアップになるシーンで位牌がうつりましたが、空田の妻シオリの命日が令和元年十月二十三日になっていました。やはりワンモアは2020年(令和2年)の物語だと思って良さそうです。となると、空田の義母が「病院のベッドで願書を取り寄せる娘が楽しそうで」という話、少なくとも秋ごろまでの出来事にはなりますが高校の願書ってそんなに早くから配布してたっけ…これ言い出したらきりないな…みたいなことが気になりました。まずもってシオリの死因が急性心不全だと聞いていたので、入院??ベッド???となりましたが、急性心不全といっても突然死とは限らず、症状が起きて入院治療して回復することもあるし、そのまま病院で亡くなるケースもあるとのことでこれはひとまず解決しました。一命はとりとめたものの、その後が回復しなかった、または急に悪化したという感じでしょうか。

あとこれは先行配信の時からずっと言いたかったんですが、空田、朱里ちゃんがいない家から学校に行くときは、鍵しめようね!!!わすれないで!!!