生きざま

オタクの生きざまなど

【ガチネタバレ版】ワンモア第六話感想

なんと、前回から1ヶ月半が経過していました。

何故タイムリーに更新しなかったかというと、5話が終わったということは次は6話じゃん…6話のラストシーン見て7話の展開を知っている状態で一週間待つの??無理では???となり、寝かせておいて心の準備ができたらまとめて見ようと思っていたら気が付いたらこんなに時間が経ってしまいました。

そんなわけで6話の感想です。

 前回(5話)が6月の体育祭でしたが、一気に9月まで進んでいます。間に夏休みを挟んだということでしょうかね。この余白部分は色々と想像しがいがあります。

職員室での地井との会話で、水野は卒業の時に彼のとっておきのモノマネをする構想を明かします。教員の知人があまりいないのでリアルなところはわかりませんが、金八先生に憧れてる先生(それも比較的若い世代で)ってどのぐらいいるんでしょうね。そもそも現代の教育現場って割と熱血精神指導はやめていこうみたいな価値観がトレンドになっている気がしますし。水野の現実感のなさというか、あこがれだけでどこまでも行けるピュアネスがまた垣間見えた気がします。

今回のメインとなるエピソードは火村の傷害容疑です。火村が昔付き合いがあった、というよりは前科がついた原因を作った仲間である柳澤に再び巻き込まれ、罪を着せられそうになります。後日柳澤本人も語っていましたが、有罪とはいえ執行猶予で済み、就職して学校にも通っていて順調に社会復帰しているかに見える火村を面白くなく思っていたようです。そもそもが執行猶予となった経緯もおそらくは喧嘩の仲裁に入っただけだからで、逆恨みなんですけどね。同じような感情を抱いているのが、同僚の谷川です。自分と同じ、あるいは下の立場にいる人間がうまくいっているように見えるとちょっと心がざわつくのは、誰にでもある感情です。そこで実際に相手に嫌がらせをして邪魔しようとしてしまうのは、一線を越えた行為ですが。

詳細は不明ですが、9月13日の日曜日の夜に付近で傷害事件が起き、話を聞きたいからと警察が訪ねてきたのが翌14日月曜日です。定時制のメンバーが警察署に乗り込んでいくのはさらに翌日のことなので、火村は丸一日帰れていないような感じですが、事情聴取(任意同行)?というていで呼び出した人をそんなに拘束するのは大丈夫なんだろうか…途中で何か適当な難癖をつけて逮捕に切り替えて拘留中とかなんだろうか…と、江尾警察の治安に心配を抱いてしまいます。火村の印象を聞き込みしている対象の人選にも問題がありそうですし。

警察署の一室で、完全に「お話を聞く」というレベルを超えてほぼ脅迫されている火村ですが、刑事の挑発に怒りの表情を浮かべるも激高せずに黙秘を保ち、どこか諦めたようなふてくされた態度をとります。どうせ俺の言うことなんか信じないだろう、好きにしたらいい、その代わり真実も一切喋らない、というスタンスです。

若くして道を外れてしまう人の多くは、周りの人間(大人)と適切な信頼関係を築くことができておらず、自尊心を持つことができず、自分も他人も信じていないところがあると思います。火村の生い立ちは詳しく明かされていませんが、彼もまた深く傷ついていて自信を失っている状態であることが繰り返し描かれています。

谷部木材の社長はそんな彼を信じて立ち直らせようとしている一人です。過去にもこのような訳ありの人材受け入れをしてきた経験からか、いきなり深くは踏み込まず一歩引いて見守るスタイルのようです。とはいえ、信じて見守ることの限界とそれしかできないもどかしさを感じている谷部社長の苦悩が見て取れます。

というところでゲームチェンジャーになりうるのが定時制メンバーです。とりわけ、重要な証言をした風間の存在がかなり大きいように見えます。少し前まではたどたどしく単語を発することしかできていなかった風間でしたが、夏休みがあけてかなり流暢に話せるようになっていて驚きました。また、彼は現段階で火村にとって一番内面を打ち明けやすい友人といえると思います。

不当に拘束されている火村を取り返すため、廊下に座り込みをはじめる面々を見て、谷部社長は涙します。話にだけは聞いていてまだ見たことのなかった学校の友人達に、これなら火村を託して大丈夫だと感じただろうと思います。谷部社長が通学を進めたのは基礎学力を身につけて自信につなげたいというだけでなく、火村に信頼できる居場所や仲間をもってほしいという願いがあったのかもしれません。

風間の証言と、地井からの防犯カメラ映像の提出もあり、火村の疑いは晴れて解放されます。警察署の前で話すシーンですが、秘密をしゃべってしまったことを謝罪する風間に、火村は一瞬怒ったふりをして迫り、その後表情を崩して接します。背後でそれを見ている地井がそれに反応して心配そうな顔をしたり、あからさまにほっとしたりしていて、彼の本来優しくて繊細な人柄が見えるようで興味深く感じました。

終盤、逃げ帰ろうとする柳澤(すぐに江尾市を立ち去らなかったところを見ると、彼もまた多少のうしろめたさがあったのかもしれません)を引き留め、「お前も本当の友達を探せ」という火村。お前も、という言葉は、自分には本当の友達ができたからお前もそうしろ、なのか、自分も本当の友達を探しているところだからお前もそうしろ、なのか微妙なところですね。個人的にはまだ高校の人々は『本当の友達』とまではいってないかな、という認識でいいと思います。きっともっとこれから先長い付き合いにはなるだろうという気はしますので。

エンディングを迎えた後、次回へのブリッジとして水野のシーンが流れます。火村が警察に連れていかれる前に、昭三さんの手紙を添削するように地井から依頼される場面がありました。道路に飛び出した子供を助けた後、地面に落ちた手紙を拾おうとした水野に走行中の車が近づいてくるところで6話が終わります。続きは次のエントリにします。